研究概要 |
企業から供給される^<18>FDG専用にPETを導入している施設や^<18>FDGの供給が不可能な地域においても、^<76>Br標識薬剤ならば利用可能であり、有効なPET診断を実施できると考えられる。そこで日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研究所にて、^<76>Se(p, n)^<76>Br反応により^<76>Brを製造し、^<76>Br標識薬剤の開発を計画した。現在のところ^<76>Brの製造反応を含め、照射ターゲットの調整方法、照射後のターゲットからの^<76>Brの回収方法などに検討の余地があるが、少量ながら高純度(99%以上)の^<76>Brの回収に成功し、これを用いてまずがん診断に有用なポジトロン標識抗体の合成とその評価を実施した。抗体には悪性リンパ腫に発現するCD20を抗原とするNuB2を用い、bromoperoxidaseを用いて標識反応を行った結果、収率は約10%であった(精製後の放射科学的純度は約95%)。そこでCD20+RPMI1788をSCIDマウスに移植し^<76>Br標識抗体(1〜4μCi/匹)を投与したところ、腫瘍への高いRI集積が観察された(投与2日後で約10%dose/g)。さらにPET imaging実験ではRI標識抗体投与24時間後にがんの明瞭なイメージが得られた。以上により、ポジトロン標識抗体を用いたがんのPET診断の有効性が示された。今後はより効率的な^<76>Brの製造方法について検討するとともに、引き続きがん診断、脳機能診断に有効な^<76>Br標識薬剤の開発を行っていく予定である。
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