研究概要 |
企業から供給される^<18>FDGの専用としてPETを導入している施設や^<18>FDGの,供給が不可能な地域においても^<76>Br標識薬剤ならば利用可能であり,有効なPET診断を実施できると考えられる。そこで日本原子力研究開発機構、高崎量子応用研究所にて,^<76>Se(p,n)^<76>Br反応により^<76>Brを製造し,がん診断を目的とした^<76>Br標識薬剤の開発を計画した。まず^<76>Seを照射後Ar気流下にて加熱し,^<76>Brを昇華分離した。8時間の照射により約240MBqの^<76>Brを得た。これを用いて^<76>Br標識グルコース(^<76>BrDG)の合成を実施した。^<76>BrDGの合成は^<18>F-FDGと同様の方法により行い,収率は約50%であった。次にLL2肺癌細胞を移植したヌードマウスに^<76>BrDG約30kBqおよび^<18>F-FDG約150kBqを尾静脈より投与し,10分,15分,30分,60分の体内分布を湖定した。得られた結果に基づき,LL2移植ヌードマウスに^<76>BrDG約3MBqを投与し,一定時間後にPET撮像実験を実施した。LL2移植ヌードマウスを用いて^<76>BrDGと^<18>F-FDGの腫瘍集積性を調べた結果,^<76>BrDGは^<18>F-FDGとほぼ同等の腫瘍集積性を示した。さらにPET撮像実験では^<76>BrDG投与2時間後にがんの明瞭なイメージが得られた。以上により,^<76>BrDGは^<18>F-FDGとほぼ同等の腫瘍集積性を示すことを認め,^<76>BrDGを用いたがん診断が有用である可能性が示された。
|