本年度は、3年計画の研究の1年目であり、頭頚部腫瘍におけるポジトロンCT検査(PET検査)でのFAMT(F-18標識αメチルタイロシン)集積と悪性度、LAT1発現の関連に関して、臨床的な評価を行い、FAMT-PETで病変へのFAMT集積のSUV(Standardized uptake value)値と腫瘍の良悪性の鑑別診断における診断能をFDG-PETとの比較をROC解析で行った。一部の症例では、筋肉他にFDG-PETでは見られる生理的集積や炎症性集積が、FAMT-PETでは、見られないため、FAMT-PETの優位性が確認された。しかし、統計学的には、両者の検査の良悪性診断における診断能に関しては、差はないとの結果が得られ、Annals of Nuclear Medicine誌に発表した。現在までの我々のグループの検討にて、FAMT集積の見られる腫瘍の症例の病理組織標本での検討にて、頭頚部腫瘍の症例の摘出腫瘍の検体にて、LAT1発現が見られることも判明しており、さらに、検体を正確に評価する試みも行い、膵癌の検体での評価に役立てるべく準備を行った。本年度は、さらに、膵癌の症例にて、FAMT-PETおよびFDG-PETの両者の検査を行い、臨床的な評価に資するPETデータを蓄積した。膵癌症例では、FAMT集積は陽性となり、腫瘤形成性膵炎などの症例では、FDG-PETでは、集積が見られるものの、FAMT-PETでは、集積が見られないなどの傾向も確かめられた。
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