研究概要 |
抗血管新生薬としてサリドマイドを用い、その担与によりマウス実験的肝転移の成長過程における血管新生に与える影響を検討した。Colon-26癌細胞の脾臓内投与により20匹のマウスに転移性肝癌を作成した。癌細胞の注入後10匹にはサリドマイド200mg/kgの連日腹腔内投与を行い(thalidomide treated group)、他の10匹には生食水のみの注入(control group)を行った。15日後にそれぞれのグループにおける類似した大きさの転移性肝癌内にみられる血管新生を比較した。血管新生は蛍光生体顕微鏡と免疫組織化学的方法で検討した。Control groupではintratumoral microvessel density (MVD)とCD34 positive microvessel density (WD-CD34)は腫瘍径の大きな(400μm以上)ものでそれより小さいものに比べて有意に増加していたがintratumoral branch density (BD)は腫瘍径の大小で有意差はなかった。一方、thalidomide treated groupではWD-CD34は大きな腫瘍群で有意に大きかったもののMVDとBDは有意差はなかった。.MVD, BD, wD-cD34はいず.れも小さい腫瘍ではcontrol群とthalidomide treated群で有意差はなかった。しかしながら大きな腫瘍ではこれらはthalidomide treated群でcontrol群より有意に少なかった。これらの結果は抗血管新生薬の1つであるthalidomideによる腫瘍内血管の変化を観察したもので、今後の経カテーテル的抗血管新生治療の一助となるものと考えられた。
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