研究概要 |
MR信号強度から造影剤濃度を算出するための過程:肝臓パーフュージョンではDual-input One-compartmental modelを用い,動脈、門脈、肝組織のGd造影剤濃度を入力パラメータとして用いた.(1)信号のスケーリング:フーリエ変換直後の信号データは、収集MR信号に比例するため,コンソール上で計測した信号強度をフーリエ変換直後のデータに戻し,異なる被写体・撮像条件間での直接比較が可能にした.(2)信号強度と緩和速度1/T1の関係:0.0〜5.0mmolまで0.1mmol間隔、合計51のファントムの信号強度を計測し、T1値と信号強度をプロットした.T1値の逆数である緩和速度1/T1を導入し、ファントムの1/T1と信号強度をプロットし,近似直線関係を確認した.これを3次多項式にフィットさせ、係数を求めた.1/T1=3.8649×10-1+3.2556×10-6×(信号強度)+2.0837×10-12×(信号強度)2-1.7994×10-19×(信号強度)3・・・(2).式(2)から求められた緩和速度1/T1と下の関係式(3)より、造影剤濃度を求めた.1/T1post-1/T1pre=r1×C・・・(3)2Dシーケンスでは、撮像範囲が限定され,動脈、門脈、肝組織が撮像範囲に含まれず問題となった.そこで、流入効果を最小限に抑え、撮像範囲を広げるために、3Dシーケンスについて検討を行なった.広範囲を撮像することにより,動脈、門脈ともに流入効果を軽減できることが期待できた.3Dシーケンスで撮像されたボランティアの画像では動脈、門脈ともに信号強度曲線は良好で、流入効果による不整な曲線の振動も見られなかった.以下に現時点までに最適と考えられた3D撮像パラメータを示す. 3D-TITFE, TR3.6ms, TE1.2ms,フリップアングル45°,FOV380mm,マトリックス320×200,スライス厚6mm/-3mm,20スライス,SPIRによる脂肪抑制 ボランティアより得られたデータ(10mlのガドリニウム造影剤により通常の広空間分解ダイナミックMRI検査を施行した後,5mLのガドリニウム造影剤にてパーフュージョン検査を追加した結果) Aortic inflow rate constant 21.2(ml/min/100ml) Portal venous inflow rate constant 99.3(ml/min/100ml) Total hepatic inflow rate constant 120.5(ml/min/100ml) 現在までに通常のガドリニウムダイナミック検査の後に付加的に施行する3次元撮像によるパーフュージョン検査か可能であり,ある程度正しい数値を得ることができることを確認するまでに至っている.
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