研究概要 |
平成18年度は,助成金で購入した大容量のハードディスク(500ギガバイト)4台を組み込んだ高速ワークステーションを活用して以下の内容で研究を進めた. 1.これまでの研究で集めた2000枚のディジタル胸部単純X線写真に加えて,新たに33000枚のディジタル胸部単純X線写真を,購入したワークステーションのハードディスクの中に保存し,大規模な画像データベースを構築した.このデータベースには女性の胸部X線写真20000枚と男性の胸部X線写真15000枚,合計35000枚の画像から構成される.すべての画像は,画像ヘッダーから患者氏名や検査時のID番号など個人を特定できる情報を取り除き,新たなID番号と検査日,生年月日だけがわかるファイル名として保存した.また,本研究の目的には,高精細な原画像のマトリクスサイズは必要としないので,35000枚のすべての画像について,マトリクスサイズを縮小し,512×512と64×64の2種類の画像をハードディスク上に保存した. 2.画像を識別するのに有効なbiological fingerprints(患者固有の画像情報)を再検討した結果,以下の7つの画像情報を利用するのが有効であることを確認できた,これらのなかで肺野の大きさは今回の研究で新たに見出した有効な尺度である. ・胸部X線写真全体(オリジナル画像) ・胸部X線写真全体(エッジ強調画像) ・上縦隔部 ・心陰影を含む部分 ・右下肺部 ・肺尖部 ・肺野の大きさ(肺野の長さと幅) 3.ある患者の画像を大量の画像データベースから自動的に検索するには,上記のbiological fingerprintsに加えて,性別と年齢を利用して候補画像を絞り込む手法が有効であることがわかってきた.現在,大量の画像データベースからある特定の画像を検索するための最適なbiological fingerprintsの選択順序について研究を継続している.
|