研究概要 |
関節の画像診断にとってMRI (Magnetic Resonance Imaging)は今や必須の検査であり、関節病変描出にその威力を発揮している。この場合には各関節に適した表面コイルを用いるが、関節MRIの現在の最大の課題は分解能の向上である。本研究はコイル径が20-45mm程度の、マイクロスコピーコイルを用いて、「関節鏡に相当する」関節の微細病変の描出を目標とする。そのために膝関節を中心に超高分解能MR画像法を幾多の新しい撮像方法を駆使し、その実現性と限界を検討する。従来の方法ではまず描出不可能であり、かつその見落としが将来の関節障害に直結するであろう、変形性関節症の軟骨表面の糜爛や半月板や関節唇の表層断裂のMRI描出を最終目的とする (1)パルス系列の最適化(担当;新津) ブタ切断膝とファントムを用いて高分解能画像に最適なパルス系列を模索した。FSE法による最適TRとTE,およびFFE法による最適フリップ角を含めた撮像条件の最適化を行った。またbinomial pulseを用いた選択的水励起法による脂肪抑制の最適パラメータを調整した。100ミクロン以下の分解能を達成すべく傾斜磁場の効率化とコイル周辺機器の性能向上を試みる。 (2)8チャンネルコイル試作器とパルス系列の確認(担当;新津) 8チャンネルコイル試作器を用いて健常人によるパルス系列の最適化の確認を行った。この際矢状断や冠状断像など各関節の最適な断層方向を決定した。膝の場合、関節軟骨のみならず十字靭帯、側副靭帯および半月板の各々の描出に最適な撮像面を決定した。臨床に導入できるように被検者が安静保持出来る10分程度の範囲での最適パラメータを決定した。 (3)健常者の高分解能MR像の限界(担当;新津、福林、高橋) 撮像範囲と画像マトリックスで決定される面内分解能の限界を探った。条件として画像診断として診断可能な十分なSNRを持つ良好な画質を伴うこと。また整形外科医の立場から見ての高分解能MR画像への要求と限界とを検討した。
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