本研究はマイクロスコピーコイルと臨床で使用可能な1.5T装置を用いて、「関節鏡に相当する」関節の微細病変の描出を目標とした。 半月板、軟骨、腱、靭帯組織など、ミクロン単位の関節微細構成要素の描出には従来のMRIの概念を破る超高分解能画像が必須であったが、これを解決したのがマイクロスコピーコイルである。今回マイクロスコピーコイルを用いることにより、通常の臨床用1.5T商用機を用いても、面内分解能は100ミクロン以下を容易に達成できることを基礎実験で証明した。健常人と患者に対して行った、マイクロスコピーコイルによる高分解能MR画豫は、軟骨を含む関節の超微細病変を正常および病的構造を容易に描出可能であった。手関節では三角線維軟骨複合体とその周囲、膝関節では内側側副靭帯の超微細構造が描出可能であった。また8チャンネル膝用コイルもマイクロスコピーコイルに相当する高分解能画像を提供した。 これらを駆使して、本研究では臨床で使用可能な短時間での高分解能画像獲得の可能性を多くの学会発表で提示し、新しい関節描出方法を提言することができた。特にマイクロスコピーコイルと多チャンネルコイルの臨床例を図書にまとめることができたことは、関節の超高分解能MR画像の可能性を広く世に紹介できたと考える。
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