研究概要 |
臨床用のMRIで実験を行った。1Hの実験結果を理論的に19Fに変換してFDG実験の感度を評価した。1Hの実験条件と結果を以下に示す。 ■Phantomは直径が約220mmの円筒 ■コイルはBody CoilのQD(Solenoid+saddle) ■撮像条件は 0.7Tesla(29.8MHz),SpinEcho, TR:1000ms, TE:25ms, Flip Angle:90, FOV:350mm Matrix:256x256,(Freq Encode:256, PhaseEncode:256) Thickness:5mm, Bandwidth:15kHz,積算:1,撮像時間:4′16″ ■S/Nを中心部の信号強度/周辺部の標準偏差の平均で求めると135.8となった。1H用の検出コイルを19F用に再調整する場合、共鳴周波数は1Hの約0.94倍と非常に近いので、コイルのQ値は事実上変わらない。したがって、 19Fの感度=(γF/γH)^<5/2>×(NF/NH)×1Hの感度 となる。ここで、γは磁気回転比、Nは1画素中に含まれている19Fあるいは1Hの数である。γの値を入れ、Body Coilに水ファントムで行なった実験結果を代入すると、 19Fの感度=0.86×(NF/NH)×135.8 となる。Thickness:5mm、FOV:350mm、256×256マトリクスより1画素の体積は9.3mm^3であり、1画素中に含まれる水分子の数はNA×0.0093g/18g=3.1×10^<20>個となるので(ただし、NAはアボガドロ数) 19Fの感度=NF×3.8×10^<-19> となる。よって、1Hの実験と同じ条件でS/N=1の19Fの画像を得るには、1画素中に2.6×10^<18>個の19Fが含まれていなくてはならない。現在PETの臨床で用いられているFDGの投与量は10mCiぐらいである。これを重さに換算すると、約1ngとなる。FDGの分子量が181なので、 1ng/181g×6.02×10^<23>=3.3×10^<12> となる。以上の結果、FDGの濃度が6桁以上足りないことが判明した。したがって、感度向上のために、NMR Force Microscopyの原理を用いた実験が必要であることがわかった。
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