研究課題/領域番号 |
18591364
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松田 博史 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90173848)
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研究分担者 |
久慈 一英 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (90283142)
今林 悦子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30406491)
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キーワード | 神経科学 / 痴呆 / 脳神経疾患 / 放射線 / 解剖学 |
研究概要 |
アルツハイマー病の前駆段階である認知症状の未だみられない健忘型の軽度認知障害患者に脳血流SPECTとMRIを施行し、健常高齢者のそれぞれの画像データと統計学的に比較する方法の精度向上をはかった。SPECTの部分容積効果を補正する目的で、同時期に撮像した3次元MRI画像を利用した。MRI画像からStatistical Parametric Mapping(SPM)2005年版を用いて、灰白質を抽出し、SPECTの画像の分解能に合致するように平滑化を行った。SPECの白質画像をMRIの白質画像から推定し、SPECT画像から差し引くことにより、SPECTの灰白質画像を作成した。SPECTの灰白質画像を、平滑化したMRIの灰白質画像で除することにより、部分容積効果の補正を行った。この一連の処理を行うソフトウェアを開発し、健常高齢者と軽度認知障害の段階のアルツハイマー病患者のSPECT画像に応用した。その結果、部分容積効果補正により萎縮の影響を取り除いたとしても、帯状回後部〜楔前部、および頭頂葉皮質の血流はアルツハイマー病において低下していたが、海馬領域にみられた血流低下は補正後消失した。さらに、部分容積効果補正後、アルツハイマー病で相対的に血流が保たれる部位として左上側頭回が出現した。左上側頭回は一次聴覚領に相当し、アルツハイマー病では病理学的変化が乏しい領域とされてきたが、今までは非特異的な萎縮のために、血流低下として捉えられていた。今回の部分容積効果補正により、SPECTの精度が増し、アルツハイマー病の早期発見および縦断的観察に極めて有用と考えられた。
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