研究概要 |
平成20年度は研究計画書に沿った256列CTを用いた内容の実験を、ブタ1頭(20kg)について実験を行った。その結果、以下の知見が得られた。 心拍数90-100/分前後の状態で造影剤注入前から注入中、造影剤の洗い出し時相までの、連続50秒間の心臓大血管領域の撮影を行った。CT装置の条件としては管電圧120kVp,管電流220mAとした。 得られた画像データはセグメント数を1(ハーフスキャン)から8まで変えたものを作製し、得られた冠動脈画像の画質を視覚的に評価した。 まず、1心拍のなかのどの時相で最も冠動脈が明瞭に認識されるかを検討した。その結果、心電図RR間隔の60%における時相(収縮末期から拡張期早期)が最も適していることがわかった。 つぎに、連続した数心拍分の画像データを用い、造影の均一性が画質に及ぼす影響を検討した。最後に、心電図RR60%の時相における画像を、1,3,3,4,5,8セグメント使用条件下で、順次再構成した。 その結果、1-4セグメントにおいて、段階的に冠動脈画像の鮮明度は向上した。4セグメント、5セグメントの間では視覚的にはほぼ同等の画質であった。これらと比較して、8セグメントでは軽度、画質が低下した。これはセグメント数があまり多いと、造影剤染まりの不均一がセグメント間で起こり、アーチファクトが発生し、画質に悪影響を及ぼしている可能性が示唆された。 以上より、以下のように結論された。心電図同期を併用した256列CTにおけるセグメント再構成によるブタ冠動脈の描出し、心拍数90-100/分の条件下では、4-5セグメント再構成において最も明瞭な冠動脈画像が得られた。
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