研究概要 |
正常胆管と胆管炎、胆管癌の近赤外ラマン分光測定を行った。使用した励起レーザーは1064nmの近赤外線で、新規に開発したファイバープローブを用いて測定した。測定関心領域は850-1700cm^<-1>とした。ラマン分光システムは1064nmNdYAGlaserから発信したものをNDフィルター通過させた後、照射用ファイバーを介して摘出標本に照射した。ラマン散乱光は検出器導入用ファイバーで収集し、F/2.5collimating lensおよびHolographic notch filterを通過させた後、Multichannnel polychromatorで測定した。測定は各症例5回以上行った。レーザーパワーは22mWから30mWとした。積算時間は5-20分である。分光波形の評価は3名が独立して行った。正常胆管壁では昨年度同様1250Raman Shift/cm^<-1>,1320Raman Shift/cm^<-1>,および1450Raman Shift/cm^<-1>に低いピークを全例で認めた。それぞれAmide III、CH3,CH2 wagging,CH2 bendingを反映したものと考えた。炎症症例では全例において、正常胆管と同一部位にそれぞれ正常胆管より高いピークを認めた。胆管癌症例では上記3ピークのうち1450Raman Shift/cm^<-1>のみが、正常のそれと比較して識別可能な急峻なピークを呈していた。以上の結果は昨年度の研究成果とほぼ同一である。 問題点は胆汁で濃染された部位で、積算時間を20分まで延ばしても蛍光が強くラマン信号を得ることができなかった。また、壁構造が1mm以下の部分では筋層以外に壁外の脂肪の信号も同時に積算してしますことがわかった。
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