ホルマリン固定された正常肝部、胆管炎、胆管癌、原発性肝癌、転移性肝癌(原発大腸癌)を研究対象とした。測定は1064nmの近赤外線励起レーザーを、ファイバープローブを介して対象に照射し、分光解析を行った。測定関心領域は、850-1700cm^<-1>とした。正常肝部と癌病巣の鑑別では、全例で1051、1130、1443Raman Shift/cm^<-1>において、正常部は癌部より高いピークを有していた。原発性肝癌と転移性肝癌における対比では、解析可能であった全例において、1447Raman Shift/cm^<-1>のラマン強度が転移性肝癌において高値を呈した。胆管癌病巣における計測は不能であった。以上の結果から、ラマン分光法を用いて、正常肝と癌部の鑑別は1051、1130Raman Shift/cm^<-1>の計測を行うことで可能で、病巣部の鑑別においては、原発性肝癌と転移性肝癌との鑑別は1447Raman Shift/cm^<-1>の強度計測を行うことで可能であった。胆管癌においては、胆汁が付着した状態では計測が不可能であった。
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