今回我々は、従来の末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)リガンドよりも脳内への移行率が高く、特異的結合と非特異的結合の比が高いリガンドとして、カナダ、トロント大学Dr. Alan A. Wilsonが新規に^<18>F標識PBR製剤として開発した[^<18>F]N-(2-(2-fluoroethoxy) benzyl)-N-(4-phenoxypyridin-3-yl) acetamide ([^<18>F]FEPPA)についてラット脳傷害モデルを用いて従来のPBRリガンドと比較、検討した。一側ラット線条体への6-OHDA注入モデル(パーキンソン病モデルラット)における^<11>C-PK11195と^<18>F-FEPPAの比較では、^<11>C-PK11195は約13%、18F-FEPPAは約27%の左右差を認め、^<18>F-FEPPAの集積の方が有意に高かった。^<18>F-FEPPAの集積と免疫組織学的評価の比較では、チロシ水酸化酵素(ドーパミン神経)とは有意な負の相関を認めた。ED-1染色(活性化ミクログリア)とは相関を認めなかった。^<18>F-FEPPAの集積とRT-PCRの比較では、炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1β)と相関を認めた。これらの結果から、^<18>F-FEPPAは、パーキンソン病モデルラットにおいて^<11>C-PK11195よりも高い信号が得られた。PBR PETはミクログリアの活性化の程度よりも、毒性転化の程度に関連が深いと考えられた。
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