研究概要 |
これまでに孤立性肺野結節病変,原発性肺癌症例に対し施行してきた高分解能CTおよびダイナミック造影,short inversion time inversion recovery(STIR)法を併用したMRI症例のデータ集積を行い,CDR、mなどに保存するとともにフィルム化した。これらのデータを用いて、まず孤立性肺野結節病変に関して,各撮像条件における良,悪性の診断,肺癌に関しては,T, N因子診断を行った。これらの結果からindependent observer agreementに関してkappa検定,Bland-Altman分析を行い検討し,最も再現性の高い診断基準を求め,さらにROC解析から診断率の高い診断基準閾値を設定した。以上のような方法で,現時点で,詳細に検討された場合のMRIの肺癌診療における診断能について一つの指標となるように検討を行った。 現時点の画像診断(CT、MRI、FDG PET)による肺癌のリンパ節転移診断能に関する研究をまとめ、これまでの報告やメタ・アナリーシスなどを加えて「非小細胞肺癌における縦隔・肺門リンパ節転移診断-CT,MRI,FDG-PETについて」として臨床画像誌に報告した。加えて、読影に必要な縦隔の解剖について臨床画像誌に、肺癌の病期分類に関して画像診断誌に報告した。 また、前述の検討もふまえ、肺癌におけるガドリニウム造影剤を用いた増強効果を研究した。これは、過去に報告した血管新生因子との相関から、新たなリンパ節転移診断法を導き出すための前段階の検討である。この成果は、平成19年12月第47回日本肺癌学会総会でのワークショップ「新しいCT, MRI技術の肺癌診断への応用」において「Dynamic MRIによる小型肺癌と良性孤立性肺野結節の鑑別:232の増強効果の比較検討」として特別発表し、この内容は、2007年1月にAJR誌において発表した。
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