研究課題/領域番号 |
18591378
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊東 久夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20095574)
|
研究分担者 |
川田 哲也 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60234077)
宇野 隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30302540)
磯部 公一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80334184)
|
キーワード | 放射線感受性 / DNA修復 / ATM遺伝子 / siRNA |
研究概要 |
放射線によるDNA損傷の修復に関与する経路として相同組換え(HR)と非相同組換え(NHEJ)が知られており、ヒトではNHEJが主たる修復経路であると考えられている。我々はATM遺伝子に異常のあるA-T細胞では、放射線誘発DNA切断に著しい誤修復が引き起こされることを解明し、ATM遺伝子が、NHEJにおける修復の正確性に重要な役割を果たす可能性があること明らかにした。本研究は静止期癌細胞のATM遺伝子抑制と放射線の相乗効果を期待した新しい遺伝子抑制放射線増感療法の開発を目的としている。本年度は静止期癌細胞および正常細胞の放射線感受性試験としてヒト由来の肺癌細胞、食道癌、膵臓癌、そしてヒト由来の正常線維芽細胞の放射線感受性を決定した。放射線抵抗性の細胞は非増殖期の細胞であり、低栄養状態で静止期にした状態でX線2-8Gy照射し、37℃で24時間修復させた後にコロニー法による細胞生存率からそれぞれの細胞の放射線感受性を決定した。静止期ではNHEJにより修復されるため、感受性はNHEJの効率性を反映すると考えられた。今回、一番抵抗性を示した膵癌細胞と正常線維芽細胞にsiRNAの導入を試みたが、ウエスタンブロッテイングでは、十分な抑制効果がえられなかった。実際コロニー法による生存率においても若干の感受性の亢進が示唆されたが、有意な差は指摘できなかった。ATMおよびγH2AXによるリン酸化抗体を用いたフォーカスの検討からもATM抑制は十分ではなかった。そこで、ATM inhibitorのカフェインを使用してATM抑制による感受性を腫瘍細胞にて検討した。ATMのsiRNA導入は本年度は十分ではなかったが、siRNA導入の効率を上げることを目標に次年度に引き続き研究を続ける予定である。
|