研究課題/領域番号 |
18591394
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 良明 日本大学, 医学部, 教授 (20023806)
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研究分担者 |
齋藤 勉 日本大学, 医学部, 講師 (80139120)
藤井 元彰 日本大学, 医学部, 助手 (70267079)
齊藤 友也 日本大学, 医学部, 助手 (10339319)
前林 俊也 日本大学, 医学部, 助手 (20409006)
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キーワード | 放射線治療 / 温熱療法 / 化学療法 / 癌集学的治療 / 消化器癌 / 局所進行癌 / 再発癌 / QOL |
研究概要 |
難治性の局所進行・再発消化器癌に対して、放射線治療と化学療法に温熱療法を組み合わせた集学的治療を行い、その臨床的効果について検討した。対象は平成15年1月以降の4年間に温熱併用放射線化学療法を行った消化器系の癌腫25例(男/女=18/7、平均年齢59.4歳)で、腫瘍内訳は、膵癌8例、胆嚢癌2例、胆管癌4例、十二指腸癌1例、小腸癌(転移性)1例、S状結腸癌2例、直腸癌7例である。現症別では局所進行・手術不能12例、術後再発12例、その他1例である。放射線治療は病巣部に限局した照射野で、可能な限り三次元原体照射、多門照射を適用し通常分割で50〜60Gy、温熱療法はRF波誘電加温装置(Thermotron-RF8)を用い、病巣部41℃、30分以上で週1回、計4回以上を目標に実施した。化学療法は膵癌にはGEM(800-1000mg)、結腸・直腸癌には5-FU/LV、UFT、TS-1もしくはFOLFOXを適用した。 結果は、治療内容について予定の70%以上実施できた症例を完遂例とすると、完遂率は68%(17/25)で、臓器別では膵癌(7/8)、結腸・直腸癌(7/9)で完遂率が高かった。画像診断や臨床症状(疼痛軽減、異常分泌物の減少など)でみた治療効果は、著効7例、有効12例、無効6例であり、臓器別の奏効率は膵癌(6/8)、結腸・直腸癌(8/9)で高く、胆道癌(4/6)、十二指腸・小腸癌(1/2)では相対的に低かった。完遂率別の治療効果は完遂例で著効6、有効10、無効1(奏効率94%)、非完遂例で著効1、有効2、無効6(奏効率38%)であり、完遂例の方が奏効率が高かった。臨床的に疼痛の軽減、異常分泌物の排泄減少など、QOL(生活の質)の向上が得られる例が多かった。有害事象として、2例に急性胃潰瘍がみられたものの、局所の疼痛、熱感などは軽微であった。 以上、放射線治療と化学療法に温熱療法を併用することにより、奏効率の向上と一次効果の持続期間に延長傾向がみられ、患者のQOL改善においても有効な治療法であることが明らかとなった。
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