【目的】限局性前立腺癌に対する治療法は、ほぼ確立している。しかし、今後問題になってくるのは、ホルモン再燃症例の治療法である。ホルモン抵抗性機序の研究は各国で行われているものの有効な治療法はなく、主治医は治療に苦慮している。今回我々は、ホルモン再燃症例にたいして我々がこれまで実績を積んできたイリジウム高線量率組織内照射(以下HDR-BT)を実施し、その適応基準、急性毒性を中心とした安全性、PSAを指標としたbNED(PSA failure free survival rate)の率、QOL向上の可能性について検討した。【実施計画】ホルモン再燃患者に、治療内容を説明し同意を得た上で外照射(3Gy×13回:39Gy)とHDR-BT(10Gy×2回:20Gy)を施行した。効果判定は3-4ヶ月毎のPSAの連続3回の測定で上昇を認めた時をPSA failureとする。有効性の指標として5年bNEDをPrimary endpointとする。Secondary endpointとして再発部位と様式の検討、QOLスコアを評価する。【中間結果】1年以上の経過観察が可能であった31症例について検討した。全例の5年Cause specific survival rateは71%、5年bNED rateは53%であった。再燃後の本治療時PSA値を1.0ng/ml以下と以上で層別化して検討したところ各群の症例数が少ないために統計学的有意差は認められなかったが、1.0ng/ml以下の群でCause specific survival rate、bNED rateともに良好な傾向が認めた。またQOL調査で本治療をしたことで末期に出現する「膀胱症状」「直腸症状」は優位に押えられる事を確認した。症例数が少ないために生存率向上に対する効果は不明であるが、末期におけるQOLの維持に有効性を認めることが示唆された。
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