研究概要 |
前立腺癌は人口の高齢化に伴い罹患率が増加しているが、放射線治療(外照射、組織内照射)あるいは外科切除術によって初発治療例に関しては、ほぼ満足できる成績が得られている。しかし、今後問題になってくるのは、ホルモン再燃症例の治療法である。ホルモン療法抵抗性増殖の機序に関する基礎的研究は各国で行われているものの実際の臨床現場では、有効な治療法もなく主治医は治療法の選択に苦慮しているのが現状である。今回我々は、ホルモン再燃症例に対して我々がこれまで実績を積んできた高線量率組織内照射(以下HDR-BT)を実施し、その適応基準、急性毒性を中心とした安全性、PSAを指標としたbNED(biochemical no evidence of disease)の率について新たなエビデンスを確立することを目的に研究を進めた。 ホルモン再燃症例38例について検討した。中央観察機関は4.3年(1.1年〜9.8年)。 5年Overall surviva1:78%,5年PSA failure free survival:40.0%であった。PSA failure free survivalを病期、Gleason score,i-PSAおよびLN status(cNO or pNO)の因子別に検討した。初回治療時の病気Bと病期Cに有意差(p=0.02)を認める以外に有意な因子は認めなかった。ホルモン再燃癌は全身疾患と見る意見は多いが、今回の局所療法で5年PSA failure free survival:40.0%であったことから、全身化学療法を施行する前の選択肢として考えても良いのではないか。
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