研究課題
基盤研究(C)
非小細胞肺癌症例の血清、血漿、尿あるいは切除組織から特定の関連タンパク質やペプチドを探索し、重粒子(炭素イオン)線感受性予測および照射後再増殖(照射野内再発)の早期診断に役立てることを目的とし、研究を開始した。最初に、放射線医学総合研究所 治験等審査委員会に試験研究実施計画書を提出し、承認を得た。研究対象は放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院で非小細胞肺癌に対する重粒子線治療予定の患者であり、インフォームド・コンセントを行った後、検体採取を行った。検体の種類としては治療前、治療直後および治療終了後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の末梢液、尿である。血液および血漿に分離した後、分注・尿はそのまま分注し、-80℃で保存を行っている。平成19年3月31日時点での登録症例数は27例で、年齢は49歳から85歳、男女比は16:11、組織型は腺癌15例、扁平上皮癌11例、大細胞癌が1例であった。病期分類はIA期14例(多発肺癌1例を含む)、IB期5例、IIB期1例、IIIA期2例、IIIB期1例、IV期(脳転移治療後)2例、X期(胸水貯留)が1例であった。パイロットスタディとして腺癌3例、扁平上皮癌2例の5例において治療前と治療翌日、治療後1ヶ月、治療後3ヶ月の血清をクリンプロットシステム(ブルカー・ダルトニクス社)にて解析し、比較を行った。治療前後で変化の認められたピークパターンが複数観察されたが、それらが病勢のマーカーとなるものかどうかは現時点では明らかではないため、今後症例数を増やし、検討を進める予定である。