研究課題
1.放射線医学総合研究所治験等審査委員会に試験研究実施計画書を提出し、承認を得た後に、当院で炭素イオン線治療を予定されている非小細胞肺癌患者に文章と口頭によるインフォームドコンセントを行って、検体採取を開始した。検体は治療前、治療終了翌日および終了後1ヶ月、治療後3ヶ月、以後3ヶ月ごとの血清、血漿、尿であり、-80℃で保存した。2008年3月31日までの登録症例数は61例である。2.登録症例のうち、治療後3ヶ月以上が経過した扁平上皮癌8例と腺癌8例の計16症例について、治療前、治療後1・3ヶ月の血清をWCX・C8ビーズ、HCCA(α-cyano-4-hydroxy-cinnamic-acid)マトリックスの条件で処理した後、ClinProt^<TM>システムで得られたMSスペクトルの解析を行った。以後、治療後の経過に従って、治療後6ヶ月、9ヶ月の検体を追加した実験を行って、臨床経過との比較、データの再現性の確認を行った。3.16例の解析で、治療前と治療後6ヶ月との間でWilcoxon符号順位和検定による2群間比較を行った結果、WCXビーズを用いた実験では有意差(p<0.01)のあるピークは扁平上皮癌で47、腺癌で35認められた。同様に、C8ビーズを用いて行った実験では有意差のあるピークは腺癌で14、扁平上皮癌で2認められた。上記有意差のあったピークのうち、治療後9ヶ月までの間、経時的に低下傾向を示すピークが複数認められた。またその結果は、治療後の経過に従って行った3回の実験で同様の傾向があり、再現性が確認できた。4.治療後経時的に低下するピークの中には治療終了翌日からの低下を認めるものもあり、早期に治療効果を判定するマーカーとなり得る可能性があると考えられた。今後は症例数を増やした検討およびマーカー候補ペプチドの同定を行う予定である。
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