研究課題
基盤研究(C)
1.放射線医学総合研究所治験等審査委員会の承認を得た後に、炭素イオン線治療を予定されている非小細胞肺癌患者に文章と口頭によるインフォームドコンセントを行って、検体採取を開始した。2006年9月から2008年3月3までの登録症例数は61例である。検体は治療前、治療終了翌日および終了後1ケ月、治療後3ケ月、以後3ケ月ごとの血清・血漿・尿であり、-80℃で保存した。2.まず登録症例のうち、扁平上皮癌8例と腺癌8例の計16症例の血清を用いて、治療前・治療後1・3ヶ月の検体をWCX・C8ビーズ、CHCA(α-cyano-4-hydroxy-cinnamic-acid)マトリックスの条件で処理し、AutoflexII-TOF/TOF MSとClinProt^<TM> システム(ブルカー・ダルトニクス社)でMSスペクトルを得た。続いて治療後6ケ月、9ヶ月の検体を追加して実験を行って、臨床経過に伴った変化を追った。3.これら16例に関して、治療前と治療後6ケ月との間でWilcoxon符号順位和検定による2群間比較を行った結果、WCXビーズを用いた実験では有意差(p<0.01)のあるピークは腺癌で35、扁平上皮癌で47認められた。一方、C8ビーズを用いて行った実験では有意差のあるピークは腺癌で14、扁平上皮癌で2認められた。上記有意差のあったピークのうち、治療後9ケ月までの間、経時的に低下傾向を示すピークが複数認められた。4.治療後経時的に低下するピークの中には治療終了翌日からの低下を認めるものもあり、早期に治療効果を判定するマーカーとなり得る可能性があると考えられた。今後は症例数を増やした検討およびマーカー候補ペプチドの同定を行う予定である。
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