研究概要 |
本研究は、臓器移植とりわけ生体肝移植では血液型不適合移植の成績が極めて悪く、その主な原因は抗血液型抗体による激烈な急性拒絶反応であることから、この抗血液型抗体産生の機序を解明することを目的とする。 血液型抗原である糖鎖そのものをELISAプレートに張り付けて抗体価を測定した方が、より感度が高く、より定量性もあることを新たに発見し、そのシステムで抗体価を測定し、臨床で実際に行われている赤血球凝集反応と比較検討することを進めた。その結果、このELISAによる抗血液型抗体価測定では、患者の極少量の血清で測定できる他、凝集法よりもより客観的に絶対値で測定できることがわかり、英文誌Tohoku Journal of Experimental Medicineに個々の症例でのELISAと凝集法の比較を行い受理された。また、Therapeutic Apheresis and Dialysis;11(5):319-24,2007には、これまでの血液型不適合症例での抗体除去の方法を掲載した。これらの成果から、今後血液型不適合臓器移植において、抗体関連型拒絶反応に対する対策がよりいっそう確実なものになったといえる。 また、検体提供者や家族の人権および利益の保護状況については、検体に関しては匿名化であり外部に対しては一切氏名を公表しておらず、本人家族に不利益をもたらすようなことは一切行っていない。
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