研究概要 |
1)Aldehyde dehydrogenaseによる血管内皮前駆細胞の分類とその血管新生に対する効果 血管内皮細胞によるさらに有効な血管新生法を求めてマウスを用いたin vivoの実験を行った。ICRヌードマウス(n=19)に対し、左下脚の動脈を結紮・切離した。ヒト臍帯血由来の血管内皮前駆細胞をaldehyde dehydrogenase(ALDH)活性の大小により2群に分けた。ALDH活性の低い群をAlde(Low)群(n=7、1×10^6細胞)、高い群をAlde(high)群(n=6、1×10^6細胞)、およびEPCを用いない対照群(n=6、生食注入)の3群に分けた。結紮直後にこれらの細胞を、大腿虚血部5ケ所に注入した。結紮4週間後に放射光血管撮影を行い、1mm四方の格子に対し交叉する細小動脈数数(angiographic score)を用いて各群の血管新生を評価した。Angiographic scoreでは、Alde(Low)が最も多く1.60±0.11であり、次にAlde(High)が1.39±026、対照群は1.27±0.9であった(Alde(Low)vs.Alde(High),p<0.01、Alde(Low)vs.対照群,p<0.001)。 2)血管内皮細胞と周皮細胞の接着の電顕像による評価 毛細血管における支持細胞である周皮細胞(pericyte)は、precapillaryでは血管平滑筋細胞に変化し細動脈から毛細血管に流入する経路(network)を形成するため重要である。50μm未満の血管数を用いた血管新生による評価では、I型糖尿病マウスは血管新生(下肢結紮+Epo投与)が約50%低下していた。この血管新生モデルにおいて電顕を用いて接着性を評価した。その結果、Cilostazolにより糖尿病の影響を取り去ると、両細胞の接着性が有意に改善していた(p<0.005)。この結果は血管新生における血管平滑筋細胞の重要性を示唆している。
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