研究分担者 |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
竹田 伸 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20314015)
大西 彰 (独)農業生物資源研究所, 研究チーム長 (30414890)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10362253)
小川 晴子 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10400079)
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研究概要 |
移植医療における臓器提供不足問題を解決する一つの方法として、ABO血液型不適合移植が試みられている。本研究では、グラフトの血液型抗原を免疫学的に脱抗原化し液性拒絶反応の制御、そしてaccommodationメカニズムの解明を試みる。平成18年度における研究成果は 1,血液型A,B抗原を切断する2種類の酵素endo-β-galactosidase(ABase : clostridium perfringens由来およびstreptococcus pneumoniae由来)遺伝子発現ベクターを用いrecombinantタンパクの作成と精製を行った。 2,ヒトA(B)型赤血球に対する切断効果を解析した(in vitro test)。A型抗原、B型抗原の切断率は約90%であり、その後O型ヒト血清と反応による補体活性化(C3d沈着)は5%以下まで著しく減少した。ABaseによる抗A/抗B抗体の細胞傷害抑制の可能性が示唆された。 3,A(B)型高発現細胞を樹立すべく、H転移酵素およびA(B)転移酵素遺伝子をCOS7細胞に導入し、A(B)抗原を発現させることに成功した。遺伝子導入COS7細胞においても、ヒトA型、B型赤血球と同様に、ABaseによりA/B抗原の切断が認菊られた(95%以上)。 4,精製したrecombinant ABaseをヒヒに投与して、肝臓、腎臓に発現するA/B抗原発現の変化およびヒヒの安全性を確認した(in vivo administration test)。血管内皮細胞に発現する血液型抗原の著明な減少が認められた。ヒヒに重大な副作用は認めなかった。 5,強力な免疫抑制療法下にある移植患者に対する安全管理のために薬力学解析による種々のpharmacodynamics(PD)モニタリングを開発した。今後、最適なモニタリング方法について検討する。
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