研究課題/領域番号 |
18591407
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 孝彰 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座 教授 (70314010)
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研究分担者 |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90362251)
竹田 伸 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20314015)
大西 彰 (独)農業生物資源研究所, 研究チーム長 (30414890)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10362253)
小川 晴子 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (10400079)
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キーワード | ABO血液型 / 抗原 / 抗体 / 液性拒絶反応 / 免疫順応 / endo-beta-galactosidase / 臓器移植 |
研究概要 |
ABO血液型不適合移植における液性拒絶反応の克服に重要と考えられる抗原の除去(脱抗原化)、凝固系の制御そして免疫機能モニタリング法の確立を試みた。平成19年度における研究成果は、下記の通りである。 (1)H18年度に作成に成功したendo-β-galactosidase(ABase:clostridium perfringens由来)のrecombinantタンパクを用いて、臓器摘出後の灌流、保存中(4℃)にA/B抗原の切断を行った。B型ヒヒの腎臓を用い、UW保存液にABaseを添加することにより、4℃4時間で90%以上のB抗原の除去が可能であった。臨床応用が期待される。 (2)COS細胞、293細胞に、A転移酵素+H転移酵素またはB転移酵素+H転移酵素を遺伝子導入することにより、A/B抗原発現細胞を確認した。今後の展開として、ブタ細胞を用いて同様の手法でA/B抗原の発現を確認し、ABO血液型不適合移植モデルクローンブタ作出の意義が明らかとなった。 (3)ブタ内皮細胞にヒトDAF(Decay accelerating factor:補体制御因子)およびヒトThrombomodulinを遺伝子導入し、Activated ProteinC産生能、ヒト血漿でのclotting time、内皮細胞活性化の指標としてTissue Factor, PAI-1 mRNAを測定した。拒絶反応を抑制しaccommodationを誘導するには、補体活性化抑制および凝固系制御が必須であることが明らかになった。 (4)ABO血液型不適合移植では抗体産生抑制のため、通常よりも強力な免疫抑制療法を施行せざるを得ない。 患者の免疫抑制状態を正確に反映するモニタリング方法として、血液を全血のまま刺激培養し、real time RT-PCR法を用い、サイトカイン(IL-2, TNF-α, IFN-γ)、細胞周期関連タンパク(cyclin-D, PCNA)、ヒストンのmRNAにおけるstimulation indexの簡便な測定法を開発した。これによって臨床検体を用いて、これらのマーカーを用いた免疫機能モニタリングの意義を検討することが可能となった。
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