研究課題/領域番号 |
18591409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小崎 浩一 京都府立医科大学, 医学部, 講師(寄附講座) (10256274)
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研究分担者 |
瀬川 一 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263076)
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40293865)
吉村 了勇 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (00191643)
貝原 聡 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (70324647)
牛込 秀隆 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (90405283)
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キーワード | ICG試験 / 生体肝移植 / 移植肝機能 / 周術期管理 / 循環動態 / 非採血型循環機能検査装置 / hyperdynamic state / 心係数 |
研究概要 |
非採血型循環機能検査装置(DDGアナライザ:DDG-2001、日本光電)はIndocyanine green(ICG)検査の簡便化・高精度化・患者負担の軽減を目的として開発された装置である。本装置は色素希釈法によって循環機能検査(心拍出量、循環血液量など)が可能であり、さらには肝機能検査(血中あるいは血漿消失率(K値:1/min))を行うことが可能である。本年度は成人生体肝移植20症例に対し本装置で心係数(CI)・血漿消失率(K値:1/min)の測定を術前後で行ない、生存群・死亡群とでCI・K値を求め、肝移植周術期での循環動態の変動と肝機能変化・予後を比較検討することで、本測定法の肝移植周術期管理における有用性を検討した。 (患者と方法)対象は成人生体肝移植20例で、術前・術当日・第1・2・3・7・10・14・21そして28病日にICG20mgを患者に注射し本装置で測定を行なった。20例の内訳は男性10例・女性10例で、疾患の内訳はC型肝炎肝癌4例・B型肝炎5例・原発性胆汁性肝硬変7例・その他4例であった。また予後は生存群14例・死亡群6例であった。 (結果)CIは全例第10病日まで術前より高値をとり(4.303±1.294vs3.165±0.999 1/min/m^2;P<.05)、第14病日に正常化(3.136±1.092;CI正常値3~4 1/min/m^2)した。その一方でK値の平均値は術前では生存群・死亡群間で有意差を認めなかった(0.066vs0.063)ものの、生存群では移植後どの時点でも有意に高値をとった。 (結論)一般に末期肝不全患者の循環動態はhyperdynamic stateという極めて心拍出量の多い状態にある。本研究ではCIは術前より第10病日まで有意に高値をとるが、第14病日には正常化する。従って末期肝不全患者の循環動態は術後10日目までhyperdynamic stateを示すが、肝移植により第14病日までには正常化すると考えられた。また本装置による測定法は非常に簡便であり、測定値自体が極めて精密であるとともに患者負担が少なく、末期肝不全患者に対する生体肝移植周術期管理に極めて有用であると考えられた。次年度は腎機能との関連を検討予定である。
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