研究課題/領域番号 |
18591417
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
塩崎 隆博 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (40419510)
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研究分担者 |
今川 弘 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90273622)
河内 寛治 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90116020)
角岡 信男 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10380239)
高橋 学 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20274334)
黄木 景二 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70281194)
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キーワード | 小口径動脈グラフト / アンジオテンシンII / アンジオテンシンIIタイプ1受容体ブロッカー |
研究概要 |
アンジオテンシンIIタイプ1受容体ブロッカーを添加した効果を本研究で明らかにすることを、本年度の研究目的とした。そこで、本研究においては、ラット血管を用いてグラフト血管保存時のアンジオテンシンIIの血管収縮性、拡張性に対する影響ならびに、それに対するバルサルタン(ARB)の作用を検討した。24時間保存後のリング状血管における等尺張力を計測した。収縮力の評価としてKClに対する電位依存性収縮反応及びフェニレフリンに対する受容体依存性収縮反応を測定した。さらに、アセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応ならびにニトロプルシドナトリウムを用いて内皮非依存性弛緩反応を測定した。結果として、1)アンジオテンシンII投与下の血管収縮の反応は、対照群と比較してKClの電位依存性収縮では差が認められなかったが、フェニレフリンの受容体依存性収縮ではアンジオテンシンII濃度が100nmol/Lで強く収縮した。さらに、バルサルタン(ARB)はアンジオテンシンIIによるフェニレフリンの収縮力増強作用を抑制する傾向が認められた。2)バルサルタン(ARB)を添加しておくことで100nmol/LアンジオテンシンIIによるアセチルコリンの内皮依存性強弛緩反応の障害が改善された。すなわち、バルサルタン(ARB)はアンジオテンシンIIによるアセチルコリンの内皮依存性弛緩反応抑制を阻害すること、を明らかにした。よって、本研究により、ARBの一種であるバルサルタンがグラフト血管の機能温存に有用であることを明らかとなった。この結果は、ARBをグラフト血管に添加することによりアンジオテンシンIIによる内皮機能障害を抑制することを示し、ARBが小口径動脈グラフト血管の機能温存にも有用であることを示唆するものである。
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