研究分担者 |
堀口 淳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70272242)
六反田 奈和 群馬大学, 医学部, 医員 (50420097)
岩崎 俊晴 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80375576)
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80234681)
飯野 佑一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50124649)
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研究概要 |
#1近年我々は,エストロゲン(E2)受容体(ER)に対するsteroid and xenobiotic receptor(SXR)によるE2作用の増強効果を報告してきた。これに関連し,(1)MCF-7細胞においてER/ERE系に対しPCBは転写を活性化させた。この作用はSXRの存在下ではさらに増強した。(2)プロゲステロン受容体(PR)を介する転写に対してSXRは用量依存性に活性化した。一方,PCBは腎繊維芽(CV-1)細胞では転写を活性化したが,MCF-7細胞では抑制した。(3)(1)(2)の現象はMCF-7では認めたが,CV-1細胞では認めなかった。CV-1にERを発現させても同様の作用は認められず,ERの発現以外の機序が考えられた。(4)MCF-7細胞を用いて細胞増殖アッセイを行ったところ,E2存在下ではPCB用量依存性に有意な活性化を認めた。以上からPCBのE2様作用及び,PR系に対する抑制作用により乳癌の進展が強まる可能性が示唆された。 #2乳癌細胞局所におけるSXRの発現が薬物代謝に関する酵素の転写活性を上げることで,耐性獲得につながる可能性を報告してきた。これに関連し,(1)MCF-7においてPCBによりSXRによるCYP3A4の転写活性増強を認めた。(2)この現象はCV-1では認められず,乳癌局所でPCBにより薬剤代謝が撹乱される可能性が示唆された。(3)PCBによるSXRとコファクターの結合の変化を解析したが変化は認められなかった。 #3乳癌細胞にもUDP-glucuronosyl transferase(UGT)が発現することから乳癌局所での排泄とSXRに関して解析した。UGT1A4とUGT2B7について(1)乳癌細胞株数種を用いてmRNAレベルの発現を調べた結果,細胞株ごとに様々な量の発現を認めた。(2)UGT1A4及びUGT2B7promoter領域におけるSXR結合部位を絞り込む目的でpromoter領域約5 kbpを上流より欠失させたレポーターコンストラクトを作成し,転写活性を解析したが,SXR単独で絞り込むことはできず,他の核内因子が必要である可能性が示唆された。
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