1.SLC/CCL21による抗腫瘍免疫反応の解析 すでに我々が樹立したSLC/CCL21の腫瘍ワクチンモデルの有効性を検証するための解析を行った。脾臓細胞からカラムを用いてCD3陽性T細胞を単離し、in vitroでIL-2存在下に腫瘍細胞と共培養を行い、5日後にT細胞を回収して腫瘍に対する腫瘍特異的細胞障害の有無を4時間Cr試験を行ったところ、SLC/CCL21ワクチン群は有意に腫瘍特異的細胞障害活性を有することが判明した。抗腫瘍メカニズムをさらに解析するために、SLC/CCL21のリコンビナントタンパクを用いて樹状細胞、T細胞、腫瘍細胞への影響の有無をin vitroで検討を進めた。SLC/CCL21は、樹状細胞、T細胞、腫瘍細胞それぞれ単独には直接作用を有さないが、混合培養系では極めて強い細胞障害性T細胞を誘導することが明らかになった。今後、さらなる解析を行う。 2.生体内樹状細胞と抗腫瘍エフェクター機構を動員した抗腫瘍免疫反応の増強 IL-18はIFN-_Yを誘導するサイトカインであり、NK細胞やT細胞等を活性化することにより抗腫瘍効果を発揮する。我々は、in vitroの系でIL-18が腫瘍存在下にNK細胞の活性のみならず樹状細胞の機能を強力に増幅することをすでに明らかにしている。この結果をin vivoの系に応用するには、腫瘍局所に樹状細胞を動員し、その局所にIL-18が関わることが必要になる。マウスモデルを用いて、Flt3L治療に加えて、われわれが開発したアデノウイルスベクターを用いて腫瘍局所へのIL-18遺伝子治療の併用を行なったところ、Flt3L単独あるいは腫瘍局所へのIL-18遺伝子治療単独に比べて有意な腫瘍増殖抑制効果がみられた。また、この抗腫瘍効果は、治療側のみならず遠隔転移巣にも確認された。この抗腫瘍免疫反応の免疫担当細胞を明らかにするためにNK細胞、CD4T細胞、CD8T細胞をそれぞれ欠失させたマウスモデルを作成し、実験を行ったところ、主に関与するのはCD8T細胞であることが判明した。Flt3LとIL-18の直接の相互作用を明らかにするために、今後、腫瘍浸潤リンパ球の解析などを行う。
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