研究課題/領域番号 |
18591440
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 非常勤講師 (90291517)
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研究分担者 |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
馬場 英司 九州大学, 大学病院, 助教 (00315475)
小島 雅之 九州大学, 大学病院, 助教 (90380394)
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キーワード | 樹状細胞 / エキソゾーム / ワクチン / 標準化 / 癌治療 / 分子移植 |
研究概要 |
本研究の目的は、免疫療法の標準化のツールとして、樹状細胞(DC)由来のexosome利用の可能性を検討することである。前年度は、健常人由来DCの分泌するexosome上には抗原提示に必要な分子群がセットで発現し、さらに、ビーズ法にて高い均一性を持って回収可能なことを報告した。 本年度における結果を研究計画に沿って報告する。 Exosomeの単球のDC分化および分化DCの抗原提示能改善効果の機序解析: 健常人DC由来exosomeは、癌患者末梢血単球のDCへの分化を明らかに改善した。具体的には、単球より分化するDCの量的増加を誘導し、さらに、癌患者末梢血単球由来DC中のMHC class II発現減弱分画の減少作用が確認された。しかし、DNAマイクロアレイによる結果の再現性が乏しく、当初目的とした、exosome上のDC分化誘導補助分子の同定には至っていない。 一方、本研究を通して、本研究の目的につながる新たな有用な結果が得られた。 (1)DC由来exosomeによるCD8+T細胞の生存延長およびNK細胞活性の増強 (2)DC由来exosomeの他の細胞への移動・接着が確認された。 (3)本研究中に、癌細胞へのEGFR遺伝子導入により、導入癌細胞分泌exosome上でのEGFR発現が確認されたので、DCへの遺伝子導入によるexosome上への任意蛋白発現実験を精力的に実施している。現在、膜上での発現を確認する段階だが、他の細胞に比べDCでの蛋白発現誘導に苦慮している。 (4)一方、癌性腹水中のexosomeによる制御性T細胞の生存延長効果を示唆する結果が得られたため、DC由来exosomeの制御性T細胞機能に及ぼす効果を検討中である。 以上、本年度の成果は、当初の計画を必ずしもクリアするものではないが、exosomeによるワクチン療法開発に貢献しうると確信している。
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