研究課題
基盤研究(C)
われわれはα-GalCerの抗腫瘍効果をマウスの自然肝転移モデルを用いて抗腫瘍効果の機序を報告してきた。そこで今回、in vitroにおけるヒト腫瘍細胞株に対するα-GalCerの抗腫瘍効果を検討することを目的とした。すなわち、ヒトの末梢血および肝からリンパ球を分離採取してin vitroでα-GalCerを添加し、ヒト腫瘍細胞株に対する細胞障害活性、抗腫瘍活性を有するサイトカイン産生量を測定し、effector細胞の解析を行い、抗腫瘍効果を評価する。次いで、ヒトにおいては臓器特異性を有するのかどうかを検討する。もしα-GalCerの抗腫瘍効果が臓器特異性を有するならば、癌患者における転移巣に対する治療法の選択肢となりうる可能性があるからである。末梢血リンパ球と肝リンパ球の抗腫瘍効果の検討:開腹手術を予定された患者から、末梢血および開腹時に肝の一部を採取して末梢血リンパ球、肝リンパ球を分離した。各々のリンパ球においてヒト腫瘍細胞株(cell line)とα-GalCelを種々の濃度で添加してin vitroで混合培養し、Cr放出試験による細胞傷害活性を測定したが、末梢血リンパ球と肝リンパ球の問に再現性を有するデータを得ることはできなかった。したがって、α-GalCerの添加する至適濃度を設定するのにさらなる実験を要した。同様に、IFN-γあるいはIL-12の産生量を評価するに至っていない。上記リンパ球のeffector解析:上記の結果において、少数例に対しては各々のリンパ球においてeffector解析を開始した。しかし、同様に、再現性を有する結果に至っていない。今後は、対象患者の背景を可及的に揃える工夫と努力を要するものを考察する。
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