研究課題/領域番号 |
18591453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90344994)
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研究分担者 |
朝長 毅 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80227644)
島田 英昭 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20292691)
野村 文夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80164739)
松原 久裕 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20282486)
西森 孝典 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30401003)
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キーワード | c-myc / FIR / 癌遺伝子治療 / アポトーシス / 転写抑制因子 |
研究概要 |
1.ヒト食道癌細胞をヌードマウスに移植して、FIR発現プラスミッドの腫瘍退縮効果・副作用についての検討:我々の最終目標はFIRを用いた癌の遺伝子治療(臨床研究)である。そのために、動物実験を用いた腫瘍縮小効果の検討と副作用の検討が必須である。今年度はヒト食道癌細胞をBalbc/nu/nu8週齢のオスのマウスの右大腿部皮下に移植し、腫瘍径が6-7mmとなった時点でFIR-adenovirus vectorを種々の濃度で局注してその抗腫瘍効果を検証した。FIR-adenovirus vectorはコントロール(LacZ-adenovirus vector)に比較して有意に移植食道癌細胞の増殖を抑制した。現在引き続いて食道癌治療にに対して使用されている抗癌剤や重粒子線との併用効果も検討中である。 2.FIRによるアポトーシス誘導がc-Myc発現プラスミドにより回避されるか検討:もしFIRによるアポトーシス誘導がc-Mycの発現抑制により惹起されるのであれば、c-Myc発現プラスミドをFIRと同時に細胞に遺伝子導入することによりアポトーシス誘導は起こらなくなるはずである。このc-Myc発現プラスミドの共発現によるアポトーシス誘導の回避をTUNEL染色、FACS解析、抽出蛋白質のCaspase9、Caspase3の発現変化を調べることにより確認した。FIR発現プラスミドをHeLa細胞に遺伝子誘導したところ内因性のc-Myc蛋白の発現が著明に低下し、アポトーシスが誘導された。このFIRによるアポトーシス誘導はc-Myc発現プラスミドをFIRと同時に遺伝子導入することにより抑制された。したがってFIRによるアポトーシス誘導は-Myc蛋白の発現抑制により誘導されたと考えられた。 3.FIRノックアウトマウスの作成:FIRの機能解析のためにFIR遺伝子を持たないマウス(FIRノックアウトマウス)を作成し、そのFIRノックアウトマウスどのような状態となるかを調べることは重要である。今回その目的のために、Iox-Pのシステムを用いてFIR遺伝子をマウスの遺伝子に組み込み、その後cre発現マウスと掛け合わせることでコンディショナルなFIR欠損マウスを作成するためのデザインを検討した。FIRノックアウトマウスでは腫瘍の発生や移植した腫瘍の発育が早いことが考えられる。
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