本申請研究は、食道癌を対象とした放射線照射術後アジュバント療法として、HER-2とMAGE-3(HLA-A2拘束性、HLA-A24拘束性)を標的抗原とした癌ワクチン療法を実施し、免疫学的評価とその臨床効果を検証することを目的とした。現在までに食道癌で根治的放射線照射がなされた症例8例を対象として実施した。照射後に、抗癌剤+癌ワクチン療法を実施し、そのプロトコールは、抗癌剤はTS-1 80mg/m228日間連投、14日間休薬を2ヶ月間実施する。癌ワクチン療法は抗原ペプチドと成熟樹状細胞を皮内投与する方法で2週間に1回投与、計5回投与とする。現在までの8症例では、副作用は軽微であり、全例治療を完遂している。免疫学的評価として、抗原に対する特異的反応を我々が確立したElispot assay systemで検討し、8例中4例において癌ワクチン療法により抗原特異的反応が誘導された。臨床効果としては、8例中4例に腫瘍の再燃が認められており、PDと判定した。その他4症例にいてはCR、およびPRを現在まで維持している。癌ワクチン療法にて、抗原特異的反応が陽性となった症例と、臨床効果(PR+CR vs PD)との間には相関は認められていない。
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