研究概要 |
大腸癌細胞株(LoVo、LS174T、SW1417、SW480、COLO320DM、RKO、HCT116、DLD1、HCT15)を用いて、各種癌抑制遺伝子のMethylation specific PCR(MSP)の条件設定を行った。3-OST-2,RUNX3,CHFRに続き、Reprimo、CDH13, CDH1, P16, SOCS1, DcR1遺伝子のMSP条件設定を行った。癌抑制遺伝子の発現の低下とプロモーター領域の異常メチル化との相関を調べ、ぼぼ相関することを検証した。 岐阜大学の129症例の大腸癌組織、大腸正常粘膜サンプルのDNA抽出を行い、RNA抽出まで施行。4遺伝子(3-OST2, CHFR, RUNX, P16)における大腸癌組織、正常大腸粘膜組織での各遺伝子の異常メチル化は3-OST2遺伝子で52.7%、17.0%、CHFR遺伝子で26.3%,2.3%、RUNX3遺伝子で3.8%,1.5%、P16遺伝子で8.4%,3.7%に認め,いずれの遺伝子においても大腸癌組織において正常組織より異常メチル化を高頻度に認めた。また各遺伝子の異常メチル化の有無と性別、年齢、ステージ(深達度、リンパ節転移、遠隔転移)など臨床病理学的諸因子との相関を調べたが有意な相関関係は認めなかった。 アメリカ人における大腸癌サンプル、大腸正常粘膜サンプルを用い、同様に3-OST2, CHFR, RUNX遺伝子の異常メチル化を調べた。その結果では3-OST-2遺伝子はアメリカ人、日本人においても大腸癌では高頻度に異常メチル化を認めたが、アメリカ人が日本人より有意に高頻度の異常メチル化を示した。CHFR遺伝子はアメリカ人、日本人において有意な差は認めず、ともに大腸癌は大腸正常粘膜と比較し、有意に異常メチル化の頻度は高かった。RUNX3遺伝子においては日本人において有意に大腸癌における異常メチル化の頻度が低かった。
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