この研究における目的は消化器癌、特に大腸癌において癌関連遺伝子の異常メチル化プロファイルを作成し、癌の診断に用いることが可能なマーカーを探索することである。我々の研究では多数の癌関連遺伝子における異常メチル化を解析した結果、3-OST-2遺伝子が大腸癌症例の52.7%と最も異常メチル化の頻度が高いことを証明した。大腸癌細胞株において3-OST-2遺伝子の発現低下と異常メチル化とが相関することも検証した。大腸癌切除標本の洗浄液からDNAを抽出し、3-OST-2遺伝子の異常メチル化を調べたところ原発巣で異常メチル化を認めた67%に腸管洗浄液から異常メチル化を同定可能であった。新たな早期診断に用いるマーカーとなる可能性を示唆し、便を用いた早期診断の足がかりとなる研究である。
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