研究課題
基盤研究(C)
1 臨床試験実施の準備(1)題名『胸部食道癌に対する樹状細胞局所注入を併用した術前免疫化学療法の安全性および有効性に関する臨床研究』の臨床試験プロトコールを大阪大学医学部附属病院倫理委員会ならびに同病院未来医療センター評価委員会に提出しいずれにおいても臨床試験実施の承認を得ることができた。(2)投与する樹状細胞の作成予備実験採取したリンパ球をAIM-V培地で培養し50ng/mlのGM-CSFと20ng/mlのIL-4を加えて48時間培養した。その後、0.1KE/mlのピシバニール、500IU/mlのOIF、50ng/mlのプロスタンディンを添加してさらに24時間培養して樹状細胞を作成した。得られた細胞の表面抗原のFACS解析をすると、CD40、CD80、CD83、CD86、HLA-DRの表面抗原が陽性かつCD14が陰性でありmatureな樹状細胞が誘導されていた。得られた樹状細胞のTrans-well assayではCCL-21に対する遊走能が高いことが確認できた。IFN-γ産生能によるTh1誘導能評価ではimmatureな樹状細胞と比較して高いIFN-γ産生能を有することが確認された。以上の基礎実験より上記方法にてリンパ節に高い遊走能をもち、かつ高いTh1誘導能をもつmatureな樹状細胞が作成できることを確認した。(3)樹状細胞のRI標識予備実験樹状細胞を111In-Oxine下に15分間室温培養した後、2回の洗浄を行い放射能をキューリーメーターで測定したところ、この方法で樹状細胞が111In-Oxineにて標識できることが確認できた。2 ヒト食道癌組織を用いた基礎的実験当科で食道切除を行った食道癌症例10名のリンパ節(計50個)をCD1a、CD83、S-100の抗体にて免疫染色を行い、immatureおよびmatureな樹状細胞のリンパ節における細胞数をカウントした。癌転移を有するリンパ節では転移のないリンパ節に比べてmatureな樹状細胞が減少している傾向がみられた(実験を継続中)。