研究課題/領域番号 |
18591467
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 勝 九州大学, 大学病院, 講師 (30294937)
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研究分担者 |
掛地 吉弘 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80284488)
沖 英次 九州大学, 医学研究院, 非常勤講師 (70380392)
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
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キーワード | 食道外科学 / 食道癌 / 喫煙 / 飲酒 / 酸化的DNA損傷 / 癌抑制遺伝子 / p53 |
研究概要 |
食道癌発生、進展における酸化的DNA損傷の検討 【背景】様々な環境因子、内因性要因に起因する酸化的DNA損傷は遺伝子変異を誘発し発癌の原因となる。8-hydroxydeoxyguanosine(8-oxoG)は酸化損傷の指標であるが、8-oxoG DNA glycosylase(OGG1)により塩基除去修復される。【方法】食道癌98例にて、OGG1と8-oxoGの免疫組織化学染色を行った。【結果】8-oxoG陽性率は進行癌ほど高かった。一方、OGG1は核染色型と細胞質染色型が存在し、進行癌ほど細胞質型が多かった。【考察】食道癌の進展と酸化損傷の蓄積との関連が示唆され、8-oxoGとOGG1の局在の不一致が塩基除去修復の障害につながる可能性が考えられた。(第109回日本外科学会定期学術集会) 食道癌におけるp53遺伝子異常の検討 【背景】食道癌における癌抑制遺伝子p53異常の生物学的意義とくに環境因子の標的遺伝子としての意義明らかでない。【方法】食道扁平上皮癌108例を対象とし、p53遺伝子変異、p53遺伝子座のLOHを解析した。【結果】(1)p53遺伝子変異の頻度は60%で、うち、transversion変異を40.0%に認めた。(2)p53遺伝子座LOHは、62.2%に認めた。(3)p53遺伝子変異を認めた症例でLOHを有意に多く認めた。(4)遺伝子変異、タンパク発現と予後に関しては相関を認めなかったが、p53遺伝子座にLOHを持つ症例は有意に予後が不良であった。【考察】食道癌にてp53のtransversion変異が他癌に比べ多いことはタバコの成分であるベンツピレン等による酸化的DNA損傷、DNA修復異常が強く関与していることが示唆された。さらにp53遺伝子座のLOHが食道癌の悪性度を示す指標になり得ると考えられた。(ASCO-GI symposium)
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