研究課題
基盤研究(C)
アラキドン酸からのプロスタグランジン生合成律速酵素であるCyclooxygenaseのアイソザイムCOX-2は、炎症関連細胞で発現し、炎症性サイトカイン等により誘導される。これが食道癌原発巣においても発現している。申請者らは食道癌の深達度および病期においてCOX-2過剰発現例ほど有意に進行しており、生存率でも過剰発現例では、有意に予後不良であった。多変量解析ではCOX-2の過剰発現は食道癌の独立予後因子であることを証明した。また、Snailは細胞接着因子であるE-cadherin(E-cad)を直接抑制し、上皮組織侵入を促進する転写制御因子である。食道癌症例においてE-cadの低発現と深達度、リンパ節転移陽性、リンパ管侵襲陽性と相関がみられ、Snailの発現陽性と深達度、リンパ節転移陽性、病期の進行度に相関が確認された。この二つの因子間に相関はなかったが、E-cad陽性例でのSnail陽性の生存率は有意に低下していた。また、多種癌腫での遠隔転移形成における、細胞遊走、増殖と脈管形成に関係するCXCL12とその受容体CXCR4の発現を粘膜下層浸潤食道癌症例で調べた。微小血管密度(MVD)と、CXCL12およびCXCR4との関連はなかったが、CXCL12はリンパ節転移(サイトケラチン染色による微小転移も含む)と有意な相関があった。更にMVD、CXCLI2はリンパ節転移を伴う食道癌原発巣で有意に多く確認され、CXCL12・CXCR4両方発現している症例に、微小転移を含むリンパ節転移が多いことを証明した。さらに、食道癌の放射線感受性因子の一つであるp53R2遺伝子において、食道癌細胞株TE-8を用い、p53R2 siRNAの遺伝子導入により放射線感受性が増強することを実験的に証明した。今後の食道癌に対する放射線化学療法治療の予後改善に寄与する可能性を見出した。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (27件)
Journal of Surgical Oncology 97
ページ: 433-438
European Journal of Surgical Oncology 34
ページ: 397-402
Oncology Reports 18
ページ: 561-7
Oncology Report 17
ページ: 517-523
癌と化学療法 34
ページ: 1275-1278
成人病と生活習慣病 37
ページ: 643-647
消化器外科 30
ページ: 561-567
Oncology Reports 17
Esophagus 4
ページ: 23-27
Dis Esophagus 19
ページ: 468-72
Clin Cancer Res. 15, 12(20 Pt 1)
ページ: 5972-7
Br J Cancer 95
ページ: 634-638
Clin Cancer Res. 15, 12
ページ: 3740-3745
Eur J Surg Oncol 32
ページ: 544-547
Human Cancer Biology 12
ページ: 5972-5977