18年度は腹膜播種でのみ増殖し、抗腫瘍効果を示すCRAdを非侵襲的にイメージングする新規ベクターを開発することを目的とした。我々は、野性株のAd5を改変することにより抗腫瘍効果を増強し、さらに蛍光蛋白を自身のプロモーターで発現をコントロールされるように挿入した野性株改変ウィルスAd-ΔE3-ADP-Lucを開発した。これにより、ウィルスの増殖を麻酔下でマウスの体外からメージング装置で経時的に計測することが可能となった。一方で、制限増殖型アデノウィルス(CRAd)が消化器癌に有効であることも報告してきた。この成果は日本外科学会、消化器外科学会、胃癌学会などで発表した。 今後はAd-ΔE3-ADP-Lucをバックボーンとして用いたCRAdを作成し、腹膜播種の治療効果を非侵襲的にイメージングできるようにし、消化器癌に対する有用な遺伝子治療法として臨床応用を目指す予定である。 来年度からは助教、小野秀高、大学院の小坂隆司を共同研究者として、さらに研究を継続発展させる方針となっている。
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