研究課題/領域番号 |
18591477
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
藤井 久男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (40156823)
|
研究分担者 |
中川 正 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 医員 (20372857)
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
|
キーワード | 排便反射 / 壁内神経系 / 外来神経 / 内肛門括約筋 / 直腸吻合術 |
研究概要 |
排便反射は、直腸を適度に加圧伸展させたときに発生する、直腸-直腸収縮反射(R-R反射)および直腸-内肛門括約筋弛緩反射(R-IAS反射)が同時に起こることにより生じる。両反射は(1)骨盤神経を介する仙髄レベルの促進反射、(2)結腸神経を介する腰髄レベルの抑制反射および(3)壁内神経系を介する内反射によって制御されている。直腸吻合術後の排便反射における壁内神経系・外来神経系による制御機構を解明するため、本年度は外来神経(結腸神経)を温存したモルモット直腸切離(切除)吻合モデルを作製し、手術操作による壁内神経切断が排便反射におよぼす影響、および術後経日的変化について生理学的(排便反射の測定)および組織学的に検討した。その結果、R-R反射は術後1-8週のすべての期間において、無傷のコントロールと同様にみられ、反射の定量的解析に用いたReflex index(R.I)においても有意差がみられなかった。一方、R-IAS反射は術後1-4週では反射の振幅が低下し、R.Iの有意な低下がみられたが、術後8週になるとR-IAS反射の振幅が回復し、R.Iにおいても無傷のコントロール群と有意差を認めなかった。抗NF抗体による吻合部免疫染色では、術後2週で壁内神経切離断端から神経線維の伸展がみられはじめ、術後4週では神経線維増生がすすみ、術後8週では微細な神経線維増生が顕著となり、吻合部を越えて口側と肛門側がつながる神経線維が観察された。排便反射の回復過程と一致した壁内神経線維の再生所見を認めたことから、直腸吻合術後の正常な排便反射の発生には切断された壁内神経の再連絡が不可欠であることが示された。現在、壁内神経再生促進作用について、脳由来神経栄養因子(BDNF)を吻合部に局所投与した場合の排便反射に与える効果について検討中である。
|