研究課題/領域番号 |
18591488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
山本 哲久 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50330072)
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研究分担者 |
川崎 浩資 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20399083)
谷川 允彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00111956)
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キーワード | 遺伝子治療 / ウイルス治療 / ヘルペスウイルス / 制癌剤 |
研究概要 |
5FC→5FUに変換するシトシンデアミナーゼを組み込んだ腫瘍細胞でのみ複製可能な単純ヘルペスウイルスベクター(HSV1yCD)を構築した。これを唯一の増殖媒体であるベロ細胞に感染させ、増殖させたのちに精製・濃縮を行い、以下のごとく実験を行った。 (in vitro) 変異HSVウイルスであるhrR3およびHSV1yCDを各種ヒト大腸癌細胞株に感染させ、殺細胞効果および制癌剤増強効果を検討した。hrR3群およびHSV1yCD群は、対照群に比べて、著明な殺細胞効果を呈した。Mock+5FC群では、殺細胞効果を示さなかったのに対して、Mock+5FU群では、制癌剤5FUの効果による細胞増殖抑制効果を認めた。次に、hrR3感染群に対して、5FCもしくは5FUの相違による細胞増殖抑制効果を検討した。その結果、hrR3による殺細胞効果が強力であり、5FU投与による有意な細胞増殖抑制の効果は認められなかった。同様に、HSV1yCD+5FC群とHSV1yCD+5FU群を比較検討したところ、細胞増殖抑制効果に有意差は認められなかった。また、HSV1yCD+PBS群とHSV1yCD+5FC群においては明らかな有意差は認められなかったが、若干HSV1yCD+5FC群において細胞増殖抑制効果を認めた。これは、HSV1yCD感染自体が強力な殺細胞効果を呈しているため、このような結果が出たと考えられた。以上のことより、HSV1yCDウイルスの濃度をもっと低濃度にして、また薬剤濃度も低く設定して、実験を再施行している。 (in vivo) 予備実験として、多発性大腸癌肝転移を有した担癌マウスを作製するために、ヒト大腸癌細胞株をヌードマウスの脾臓より注入した。しかしながら、なかなか安定した肝転移を有する担癌マウスを作製できなかった。これについても、現在、細胞株の種類や注入量をいろいろと設定して取り組んでいる。
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