研究課題
基盤研究(C)
胎生13.5日目、14.5日目、15.5日目、16.5日目、17.5日目、18.5日目のC57BL/6マウスの大腸を実体顕微鏡下に摘出し、遺伝子を精製し、NIA gene-chipを使用し、マイクロアレイにて解析した。さらにApc、Smad3、TGFbeta1を遺伝子操作したマウスやAOM処理したマウスでの大腸癌を摘出し、同様にマイクロアレイにて解析を行った。またヒト大腸癌の標本を用いた解析も実施した。それらのマイクロアレイの解析結果をもとに、大腸の発生と大腸癌発癌に関わる遺伝子として転写因子であるSOX4を同定することに成功した。SOX4抗体を用いた検討では、ほぼすべての大腸癌細胞株でSOX4は発現しており、正常大腸、胎児マウス大腸では上皮に発現していたが、大腸癌においては癌細胞の核、細胞質に様々な発現を認めた。Serial analysis of gene expression(SAGE)データベースにおいて、SOX4の発現は正常組織に比し大腸癌組織において有意であった。一方、SOX4(Wild typeとDominant negative)、Wntシグナル(Wnt3a、Frizzled、beta-catenin、TOPflash、FOPflash)の発現ベクターを作成し、HEK293細胞やSW480細胞をはじめ大腸癌細胞株にtransfectionを行い、luciferase assayを行ったところ、SOX4がWntシグナルに関わるbeta-cateninを制御することが判明した。それらの結果をふまえ、現在、ワクチン療法に対する実験として、SOX4ペプチドのマウスへの接種を開始している。今後、ワクチンとしての効果を検討する予定である。なお研究成果の一部を国内外で発表した。
すべて 2007
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Nature Genetics 39(4)
ページ: 467-475