研究概要 |
進行度3・4期胃癌患者において、化学療法開始前に内視鏡検査を施行し、インフォームド・コンセントの得られた10例について、胃癌部の組織を採取、凍結保存した。さらにS-1/CDDP併用術前化学療法後に胃切除術を実施、切除胃癌組織を採取、凍結保存した。RNeasy kitを用いてtotal RNAを抽出。Focused DNA arrayを実施した。臨床画像診断、組織学的診断により、Responder7例とNon-responder3例の2群に分類した。拡酸代謝酵素である、thymidylate synthetase,dihydropyrimidine dehydrogenase、細胞周期制御に関与するp53,E2F transcription factor1,cyclin Dl,p27、ストレス誘導遺伝子としてglutathione S-transferase piを調べ検討したが、各遺伝子発現量に両群間で有意差を認めなかった。今後症例数を増やして、追加検討する予定である。 抗癌剤による有害事象発生におけるマーカー探索の目的で、非小細胞性肺癌患者の血漿中チオレドキシン値を測定した。Epidermal growth factor recepter(EGFR)阻害薬であるgefitinib内服治療した非小細胞性肺癌患者44名中、3名が重篤な有害事象である間質性肺炎を発症した。間質性肺炎を発症した3名は、非発症群に比して血漿中チオレドキシン値の有意な上昇を認めた。gefitinib投与前の血漿中チオレドキシン値は両群間で有意差を認めなかった。gefitinibによる間質性肺炎の発生メカニズムに酸化ストレスが関与する可能性、ならびに血漿中チオレドキシン値がgefitinibによる間質性肺炎の病勢評価に有用である可能性が示唆された。 (英文論文発表Sakuma K., et. al.Intern.Med.46(23):1905-1909,2007)
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