研究分担者 |
近藤 哲 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (30215454)
宮本 正樹 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (40333611)
七戸 俊明 北海道大学, 大学院医学研究科, 講師 (70374353)
樋田 泰浩 北海道大学, 北海道大学病院, 特任講師 (30399919)
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研究概要 |
PEDF(Pigment Epithelium-Derived Factor)遺伝子をレンチウイルスベクターに導入し,それを感染させることで,恒常的にPEDFを産生・分泌する膵癌細胞株PCI26PおよびPCI43Pと,食道癌細胞株TE8PおよびHEC46Pを樹立した。いずれの細胞株も蛍光蛋白であるGFPを同時に発現する。対照として, GFPのみを発現するPCI26G, PCI43G, TE8GおよびHEC46Gを樹立した。PCI26PおよびPCI43Pの増殖はそれぞれPCI26G, PCI43Gと比較して変化が見られなかったのに対し, PCI26PまたはPCI43Pの培養上清で培養された血管内皮細胞HUVECの増殖能は, PCI26G, PCI43Gの培養上清を用いた場合と比較して有意に増大した。同様の結果は遊走能においても認められた。ヌードマウスに移植されたPCI26PおよびPCI43Pの腫瘍増殖はPCI26G, PCI43Gと比較して有意に低下しており,微小血管密度(MVD)も低値であった。また, PCI43Gは腸間膜上に多数の腹膜播種巣を形成したのに対し, PCI43Pはほとんど腹膜播種巣を形成しなかった。以上より, PEDFの発現は血管新生を阻害し,腫瘍の転移および増大を抑制する作用につながることが明らかとなった。次に, TE8またはHEC46をそれぞれマウスに移植し, MVDが対照群と比較して低値になることを確認した上で,末梢血中に存在する骨髄由来血管内皮前駆細胞(EPC)数をFACSにて計測した。TE8G, HEC46Gのいずれの場合でも,移植前と比較して末梢血中のEPC数は有意に増大したが, TE8P, HEC46Pにおいてはほとんど増大が見られなかった。それぞれの腫瘍を切除して得られた組織を蛍光免疫染色したところ,新生血管におけるEPC数もTE8P, HEC46Pでは有意に低値であった。
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