研究概要 |
兎にVXII腫瘍を移植して担癌モデルを作成し、腫瘍内にDextran Magnetite(DM)を注入して誘導加温を行い、その加温特性と治療効果について検討した。DMには、Resovistを用いた。兎VXIIにDMを26G針で注入しその腫瘍内での消長をCTスキャンで経過を見た。また、腫瘍を経時的に摘出し鉄染色を行った。腫瘍内には2日目にもDMが細胞の周囲に存在した。しかし5日後には集積は無く、CTスキャンでも確認された。 DM注入後直ちにRF加温を行った。DMが存在する腫瘍内温度は5分以内に45度まで加温出来た。加温後5日目のCTスキャンでは、腫瘍内にDMの残存が認められた。腫瘍を摘出し組織を鉄染色すると、DMは腫瘍内に取り込まれていることが判った。細胞内を詳細に検察すると,DMは細胞質無いに取り込まれており,これは加温しない場合は起こらなかった.このことから,腫瘍内にDMを注入した直後に加温すれば、DMは腫瘍細胞内に留まり、再度の加温でも温熱効果が期待できるものと考えられた。これはまったく新しい知見である。 次に、VXII腫瘍にDMを注入直後に加温を行い,5日後に再度加温を行った。腫瘍内温度と近傍の大腿筋の温度、肛門内体温を測定した。 結果、第1の加温でCTスキャンで腫瘍内にDMが確認される腫瘍では容易に45度までの加温が可能であった。6匹の兎腫瘍のうち4匹で45度にて30分の加温が可能であった。腫瘍の大きさを毎日キャリパーで測定したところ,4匹中2匹で腫瘍の縮小と増大の遷延を認めた。 現在,肝転移モデルを作成中であり,肝腫瘍に対する治療の有用性について実験を行う予定である。
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