研究概要 |
(1)癌細胞において、一酸化窒素(NO)によるIGF-R/IRS-1/PI3-K/Akt系シグナルおよびMAPKシグナルへの効果 膵癌細胞MIAPaCa-2にてNOドナーのGSNOによりIRS-1の蛋白発現、インスリン刺激によるチロシンリン酸化およびリン酸化Aktの発現低下が認められた。GsNOによるIRs-1の蛋白発現はproteasome inhibitorであるMG132によって抑制された。一方GSNOによりERK1/2のリン酸化は増加した。 (2)癌細胞において、NOによるIRS-1ユビキチン化の証明とそのメカニズムの解明 MIAPaCa-2にIRS-1 WTおよびそのdeletion mutantであるIRS-1 DM2,IRTS-1 DM3を遺伝子導入し高発現させGSNOによるIRS-1蛋白発現量を定量すると、IRS-1 WT, IRS-1 DM2においては低下するが、IRS-1 DM3においては変化が見られなかった。これによりC-terminal側にNOによるユビキチン化に重要な部位が存在する可能性が示唆された。 (3)IRS-1蛋白発現が癌細胞増殖に重要であり、NOによるユビキチン化が癌増殖抑制に重要であることの証明 MIAPaCa-2およびMCF-7の細胞増殖はGSNOによって濃度依存的に抑制された。またMIAPaCa-2にIRS-1を高発現させた株においてはNOドナーによる細胞増殖抑制効果減弱した。 (4)NOドナーあるいはNOドナー+glucose oxigenase (GO)による癌増殖抑制効果〜in vitroおよびin vivoでの解析〜 MIAPaCa-2細胞増殖はGSNOあるいはGO単独よりもGSNO+GOによって相乗効果的に抑制された。
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