研究課題
基盤研究(C)
目的:マクロファージ内の転写因子であるNF-κBの活性化を特異的に抑制することでサイトカインの産生を抑制し、過大肝切除後肝不全を回避できるかどうか検討した。方法:8週齢のBALB/cマウスを用いて、90%肝切除を行い、過大肝切除肝不全モデルを作成した(J Surg Res.2005Aug;127(2):171-6)。HVJ-liposome法でNF-κB Decoy oligodeoxynucleotides(ODN)を経門脈的二回投与し90%肝切除を行った群(Decoy群N=20)と、生理食塩水を投与し90%肝切除を行った群(Control群N=20)を比較した。各群の術後の血清サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-a)をELISA法で測定し比較した。また、HE染色、NF-κBに対するP65抗体免疫染色、TUNEL染色、BrdUを用いて組織学的にも比較した。結果:術後生存率は、Control群が48時間以内に例死亡したが、Decoy投与群は48時間生存率35%、14日後の生存率は17.5%であり、Decoy群の生存率は改善した(P=0.004)。いずれの血清サイトカイン濃度もControl群と比べDecoy群で有意に抑制されていた。TUNEL染色でDecoy群はControl群に比べ術後24時間でアポトーシスの減少がみとめられたが、BrdUを用いた比較では、差はなく、肝再生は同程度であった。考察:90%切除は許容肝切除である70%切除に比較し、高サイトカイン血症が持続する状態にあり、肝不全の原因の一つと考えられている。結語:NF-κB Decoy/ODNは致死的過大肝切除後のマウスの血清サイトカインを押さえ、アポトーシスを減少させることで、生存率をわずかに改善させた。
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J Surg Res 143
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J Surg Res (in press)