ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)及びヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の施行等について(文部科学省研究振興局長・厚生労働省大臣官房厚生科学課長・経済産業省製造産業局長連名通知)を遵守し、手術で得られた膵切除標本(浸潤性膵管癌5症例、膵管内乳頭粘液性腫瘍3症例、胃癌2症例)を使用した。切除標本から、H&E染色による組織スライドを作成した。膵管内腫瘍性病変(pancreatic intraepithelial neoplasia=PanIN)が認められる組織スライドの連続切片を用いて、顕微鏡(PixCell LCM米国Arcturus社製、大阪医科大学研究機構に設置済)観察下にレーザーキャプチャーによりPanINの細胞成分を回収した。PanINはあらかじめグレード(PanIN-1A、-1B、-2、-3)とその存在部位(小葉内導管、小葉間導管、主導管)により分類しておいた。膵癌部の上皮成分も同様にマイクロダイセクションした。標本試料をTK溶液50μg/mlに溶解し56°Cで12時間処理した後、100°Cのブロック上に10分間おき、proteinase Kを不活性化した。Sepa Gene(三光純薬製)を用いDNAを抽出した。現在、以上の方法により、DNA試料の収集を継続している。今後、Degenerate oligonucleotide primed-PCR (DOP-PCR)のうえCGHマイクロアレイチップGenoSensor Array 300(VYSIS社製)により、PanIN病変および膵癌における癌関連遺伝子のゲノムコピー数の増幅・欠損を包括的に解析する予定である。
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