研究課題
基盤研究(C)
【目的】簡単かつ信頼性の高いすい臓がん診断法の確立が長年試みられている。本研究では、細胞傷害性T細胞(CTL)が認識するペプチドに対するIgG抗体を同時測定することにが、すい臓がんのスクリーニングに有用かどうかを調べた。【材料および方法】インフォームドコンセントを得た47名のすい臓がん、15名の大腸がん、32名の胃がん患者、および42名の健常人より血漿(血清)を採取した。抗原としてはこれまでがん関連抗原由来T細胞エピトープとして同定してきたペプチドおよび57種類のPSCA由来MHC結合ペプチドを合成し、DMSOに溶解して使用時まで一80度C部保存した。血漿中ペプチド特異的IgG量はLuminexを用いたフローメトリー法で測定した。【結果】がん抗原ペプチド63種類に対するすい臓がん患者血漿IgGをLuminexで測定し、判別診断を行った。その結果、83%の膵臓がん患者と7%の健常人が、それぞれ陽性と診断された。更に、57種類のPSCA由来ペプチドのうち10ペプチドに対する特異的IgG抗体が健常人に比べて膵臓がん患者血漿のほうが高いことが分かった。膵臓がん患者の80%および健常人の18%が、それぞれすい臓がんと診断された。これらの患者では、PSCA2-11、85-95、および109-118の3種類のペプチドのうち少なくとも1つですい臓がん陽性と判定された。【結論】以上の結果より、これらのペプチドを同時測定することによりすい臓がんの新しいスクリーニング診断として有用であることが示唆された。
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Oncology Report 18
ページ: 161-166
Kurume Medical Journal 53
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